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詩説「悟った鈴虫」

詩説「悟った鈴虫

鈴虫 鳴く 残暑の夜
僕は 詩の前に 座っている

オーディオから流れるバラードと
窓の外で鳴く 鈴虫が ハモるよぅに

美しい旋律を 聴く 貴重な合唱

単調な 鈴の虫 声が こんなにも
風情を感じることに

この世の不思議な 色に 身を任せて

僕もうたいたい

なんと美しい 鈴虫の 羽音よ

僕が生きる意味を 考えるのと同じくらい
鈴虫の 歌が 美しい理由を 考えることが

意味を持たないことに
僕は 意味を感じていた

地球を感じる 彼らが 心強く
地球に生きる 僕らが

なんら変わらない 生き物たちの 生活に

ただ生きている 訳も求めずに

鳴き続ける 鈴の虫たちよ

君は 悟った 僧侶のように

神を 信じることもなく
仏を 語ることもなく

僕も鳴きたい 鈴虫のようには
なれぬけど

確かに思った
僕は いま 鈴虫のように

儚く 生きたい
そう

何も考えずに生きるんだ
できるはずないけど

僕は そう思い ながら
鈴虫が 何を考えているのか

まったくわからないことに

少し 安心して
オーディオから 流れる バラードの

ボリュームを少し上げても
消えない
彼らの 歌に 怒りや憎しみがないことが
嬉しかった。

僕は 鈴虫になれないことが 嬉しかった。

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