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詩説「暖炉」

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暖炉」詩説

家に帰ると
すぐに 暖炉に火をつけた

シングルファーザーの 私と
まだ 幼い 我が子

妻に先立たれ
大切な
忘れ形見の 娘と 二人暮らし

彼女は
日に日に 妻に似てくる

いつか
彼女を 幸せに してくれる
誰かが 現れたら

素直に 喜べるだろうか?

などと
ハラハラする 私だが

いつかは
バージンロード に
娘と 歩きたい と思っている

新しい 娘のパートナーに
私からの
私からの 最初で最後の願い

娘を よろしく頼む
そう言うと 私は

バージンロードに
娘の手を引き 彼の元に辿り着き

バトンを渡すように
彼の手を 委ねた

幼い頃を思い出し
感極まる 娘の涙に

シングル 父親 生活の果て

目がしら 熱く 泣かぬものかと
思うほどに 涙が止まらなかった

くちづけ
祝福の 声 拍手
チャペルの鐘が 鳴り続けた

そんな想像をしながら

暖炉で 温まる
父娘の ささやかな 休日に

いつか 妻が
生きていた頃を

彼女が 生きてくれると

暖炉は ただただ
僕らを温めてくれるのでした。

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